母の故郷 大聖寺を訪ねて
あおぞら銀行
金沢支店長
内田圭一郎

 「加賀は雲が低くて、雪が屋根まで積もってね。子供の頃のおやつは毎日、兄弟姉妹みなでメスのカニを食べてたもんだよ。」と、母から故郷の思い出を何度も聞いてきました。昨年11 月、奇しくも私は金沢支店に赴任することになり、冬の空に納得し、香箱ガニを見ては、子供には贅沢だという思いを強くしています。
さて、東京で暮らす89 才の母に代わって、先日、彼女の故郷の大聖寺を訪ねてきました。東京で生まれ育った私にとっては、幼少時の夏休みのかすかな記憶を思い出させる日帰り旅となりました。
ご存じの通り大聖寺藩十万石は、第三代前田利常公が、富山藩十万石と共に加賀藩百万石の支藩としたその城下町として栄え、また古九谷焼の発祥の地と言われています。
JR 大聖寺駅を降りて、駅前通りから県立九谷焼美術館を覗き、立ち並ぶ古寺を眺めながら旧大聖寺川に沿って歩くと、藩邸跡の江沼神社や藩主別邸の長流亭などがあり、歴史を楽しむことができます。
私は40 年振りに母方先祖代々の墓参りをし、かつて生糸問屋だったという生家を確認することができました。あとは、何十年振りとなる従兄弟達との再会が楽しみの今日この頃です。

 

ワインあれこれ(第3回) ―ワインの値段と味について―

 「ワインは高いほど美味しいの?」これは良く耳にする質問です。
ワインの価格は「1. 原価的要素」と「2. 市場的要素」によって決まります。葡萄を手で摘んだり、実を一粒ずつ手で選んだり、高価な樽で熟成したり、といったこだわりによって製造原価は上昇しますが、それも3,000 円ぐらいが上限と言われています。1本10万円以上するワインでも製造原価はだいたい3,000円ぐらいなのです。
数万円もするようなワインは「1. 原価的要素」よりも需要と供給による「2. 市場的要素」の方が大きく影響しています。
ボルドー1級格付のワインにシャトー・ラフィットというワインがありますが、このワインは4~5年前までは3万円程度でした。
しかし、昨今の中国のワインブーム、さらには著名中国実業家が「私は事業が成功するたびにラフィットで乾杯する」と話したことから一気に需要が伸びて価格が高騰、今では10 万円を超えることも珍しくありません。
たった数年で味が向上した訳でも無いのに価格が高騰する一例です。
皆さんも値段にとらわれず、ご自身が美味しいと思うワインを探してみてください。

(記 北川雅一朗)