車と街道歩き
北陸鉄道株式会社
代表取締役社長
加藤 敏彦

 入社以来いくつかの会社に籍を置いたが、そのほとんどは○○鉄道株式会社という名前であった。もちろん電車やバスに乗ることは嫌いではない。でもなぜか車と歩くことが好きである。
金沢と実家を行き来するには東海北陸自動車道がいい。長いトンネルが多いのは少し気になるが、道中は下道の国道156 号線とともに素晴らしい。南から郡上八幡、白鳥、ひるがの高原、御母衣湖荘川桜、世界遺産白川郷に五箇山、散居村と四季折々の風景が楽しめる。街道沿いには好物の蕎麦も多い。ドライブ好きな私にはたまらないルートで、何度通っても飽きない。
もう一つの楽しみは、健康と見聞を深めるための街道歩きだ。旧街道は歴史も古く、歩いていると電車や車では全く気づかないものを発見できる。旅先で出会った人と話をするのも楽しい。旧東海道は、金沢へ来る半年前に6年間かけて何とか踏破した。同時にお江戸日本橋に向けて歩いていた旧中山道は、下諏訪まで到達したが、その先の和田峠から佐久平までの交通の便が悪く、時間的な制約を受けて中断を余儀なくされている。北陸新幹線が開通すれば、金沢からは格段に近くなるので何とか挑戦したいが…。
物事をスピーディーに効率よく進める時は車でドライブするように、人の話を聞きながらひとつずつ確認して着実に進める時は街道歩きのように、これからも仕事と好きなことの両立を図っていきたい。

ワインあれこれ(第2回) ―ブドウの品種について―

 ボルドーの赤ワインのブドウの品種は、カベルネ・ソービィニヨンとカベルネ・フラン、メルロー、プティ・ヴェルドーの4つの品種を混ぜて使います。
ボルドーには、シャトー制度があります。これは、18 世紀にたくさんの小農場が統合されて、大きなシャトーがいくつも誕生して、それぞれ大量のワインを生産しています。従って、ボルドーのワインを探すのは割と簡単です。各シャトーによって、どの品種をどのくらいの割合で使うかが決まっており、この割合もワインの味に反映されます。
これに対して、フランスのもう一つの偉大なワインであるブルゴーニュは対照的です。ブルゴーニュの赤ワインのブドウの品種は、ピノノワールの1品種だけです。また、畑を細分化して、様々な栽培者が分割して生産しています。従って、ある畑のある栽培者の産出するワインの量は少量なので、ブルゴーニュのワインは高価でかつ探しにくいのです。
ワインは自然のものであり、その出来映えは、日照・霜・雨などの天候に大きく左右されます。そこで、ボルドーでは、多様な品種を作ることで、ある品種の出来が悪くても、他の品種で乗り切ります。ブルゴーニュでは、1品種ですが、畑を細分化して、栽培者としては、様々な場所に畑を持つことで、ある地域の畑が天候で傷んでも、他の畑が生き残ることにより、ワインを作ることができます。同じフランスでも、地域によって、全くワインの作り方が違います。
次回からは、北川幹事が担当して執筆される予定です。お楽しみに。

(記 織田 明彦)